(仮題)「戦争の文化」から「平和の文化」へ
―池田・ウンガー対談とベルタ・フォン・ズットナー―
日本・愛知学院大学 糸井川修
概要
人類は、民族・文化・宗教等の違いを背景に、これまで数多の戦争を繰り広げてきた。今、世界平和の構築に必要とされているのは、野蛮な戦争を生み出してきた土壌である「戦争の文化」を「平和の文化」へとパラダイム転換することである。池田先生とヨーロッパ科学芸術アカデミー会長フェリックス・ウンガー(Felix Unger)博士との対談集『人間主義の旗を―寛容・慈悲・対話』(東洋哲学研究所、2007年)では、そのために不可欠となる「寛容の精神」が大きなテーマに掲げられ、平和と共生の社会に向けた幅広い議論が交わされている。ウンガー会長の母国オーストリアは、中央ヨーロッパで多民族国家として栄えた歴史を持っており、この点からも「寛容」のテーマが選ばれたことは非常に興味深い。
論文では、先ず、この対談集で提示された「寛容」と「平和の文化」についての池田思想を抽出し、考察を試みる。それをもとに、同書で池田先生が「《平和の文化》の女性の先覚者の一人」と認識するベルタ・フォン・ズットナー(Bertha von Suttner:ノーベル平和賞を最初に受賞した女性)を取り上げ、池田思想の視点から、彼女の思想と行動の先見性を探ってみたい。池田先生はしばしば歴史上の人物に光を当て、仏法の思想を展開されているが、ズットナーもまたその一人として捉えることができるだろう。
(暂题)从“战争文化”走向“和平文化”
-池田·昂戈尔对谈与贝莎·冯·苏特尔
日本·爱知学院大学 糸井川 修
人类其背景由于民族·文化·宗教等的不同,至今为止经历了无数次的战争。如今,构筑世界和平所需要的,是要把滋生出野蛮战争土壤的“战争文化”改变成“和平文化”。池田先生在与欧洲科学艺术院会长费利克斯·昂格尔(Felix Unger)博士的对谈集《高举人间主义的旗帜-宽容·慈悲·对话》(东洋哲学研究所,2007)里,以“宽容的精神”为主题,展开了为实现和平与共生社会的广泛的讨论。昂戈尔会长的祖国奥地利,在中欧作为多民族国家有着光荣的历史,从这一点来看选择“宽容”这个主题也是意味深长的。
本论文首先抽出该对谈集所提示的有关“宽容”与“和平的文化”的池田思想来进行考察。同时,以该书池田先生认为是“‘和平文化’的女性先驱者之一”的贝尔塔·冯·苏特纳(Bertha von
Suttner:诺贝尔和平奖第一位获奖的女性)为例,从池田思想的视点来探讨她的思想与行动的先见性。池田先生常常聚焦历史人物来展开佛法思想,苏特纳也理应是其中一人。